怖イ話 短編

奇妙なアパート

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私が幼稚園の頃に住んでいたアパートでの話です。そのアパートはどこにでもある普通の2階建てのアパートで、自分たちのほかにも人は住んでいました。

ちなみに私には霊感はありません。幽霊を見たのはそのときが最初で最後、そのアパートで住んでいた時期のみです。

私が見た幽霊は、夜寝ていて、ふと目が覚めた時に背鏡を見るといつもいました。近づいてくるわけでも、おどかしてくるわけでもありません。ただ、じっとこちらを見ています。幽霊は若い女性で、髪が長く、白い服を着ていました。

典型的な幽霊のイメージのような姿なので、私自身も、その話を聞いた家族も妄想のように感じていました。しかし私はほとんど毎日、「幽霊がいる!怖い!」と両親に訴えていました。今でもその時の恐怖心が残っています。

ある日、アパートでしか姿を現さなかった女性が別の場所でも現れました。田舎にある祖母の家からの帰り道です。

後部座席に座っていた私は、夜道でなぜか急に嫌な予感がしました。後ろを振り返って窓を見ると、いつもの女性が車にくっついてこちらを睨んでいる。

その瞬間、私は急いで目をつぶり、大きな声で母や兄にその事を伝えました。ですが、母も兄も女性の姿は確認できませんでした。その女性の幽霊がハッキリ見えたのは、今までもその時も私だけです。幼い私にずっと憑いていたのでしょうか。

女性の幽霊の存在はともかく、アパートに奇妙さを感じていたのは私だけではありません。その頃、私の母は精神的に弱っていて別人のようでした。そのため両親の喧嘩も多く、家族の雰囲気も良くありませんでした。

ですが、引っ越してからは憑き物が取れたかのように明るくなり、情緒が不安定になることもなくなりました。そのほかにも、私の従兄弟もアパートで幽霊を見たと言っていたこともあったそうです。従兄弟が見たのは私と同じ幽霊ではなく、おじいちゃんだったといっています。もしかしたら、そのアパートには女性だけでなく、何人もいたのかもしれませんね。

私の住んでいたアパートは普通のアパートだったのか、それともいわくつきだったのか。

最後に、私の両親がそのアパートに引っ越した当日、押し入れを開けると、焼けた小銭が置いてあったそうです。
なぜ焼けた小銭があったのでしょうか。いつから置いてあったのかもわかりません。

私は、「納骨のときに一緒に焼いたお金かもしれない…」と恐ろしい想像までしてしまいました。

アパートにはいったい何があったのか、今でもあの女性やおじいちゃんはそこにいるのか。
引っ越した私にはもうわかりません。
もちろん、これからもあそこには近付きたいとは思いません。

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