不思議な話 短編

難病

4.3
(3)

「ここんとこ、ずっと調子悪いな……。」

二週間近く、頭痛が続いていた。最初はすぐに治るだろうと思っていたが、いつまでも良くならず、業を煮やした女は病院へ行くことにした。

「はーい。口を大きく開けてくださいね。はーい、大丈夫です。」

服だけでなく、眉も髪も白い内科医の診察を受ける。一取り調べ終わった医師は手元のカルタに何やら書きなぐると、こちらを向いた。

「カゼ、ですね。栄養をとって安静にしていれば治ると思いますが、頭痛と微熱が見られますので、解熱剤と痛み止めを出しておきますね。一週間経って変化が見られない場合は、もう一度お越しください。」

「はあ。」

「では、受付窓口でお待ちください。」

腑に落ちなかったが、医者の診断だしな、と女が立ち上がろうとした時、突然視界が大きく揺れた。

「え?」

体を支えられず、背中から倒れ込む。そして意識が黒くなった。

次に目を覚ました時、女はベッドの上にいた。
患者用の服に着替えさせられており、いつの間にか日も暮れていた。

「痛っ! 痛い! 痛い痛い痛い!」

体を起こした瞬間、激痛が走った。耐えられずナースコールへ手を伸ばしたが、いつまで待っても誰もやって来ない。

「痛い! 痛い! ちょっと、何で、何で来ないの!」

がなる女。そんな彼女に隣のベッドの老人が話しかける。

「無駄だよ。この部屋にはだあれも来やしないよ。」

「はあ!? 誰も? 来ない? って、何!」

怒気を孕んだ叫び。凄まじい剣幕の女に怯むことなく、老人は淡々と続ける。

「ここはね、ターミナル病棟なのさ。って言っても緩和治療をするわけじゃないよ。早く死んで欲しい人間を押し込んで、死ぬまで放っておく所なのさ。」

「はあ? どうゆうこと? そんな所に何で私が!」

「そりゃ、お前さんが病原体だからさ。」

「びょう、げんたい?」

「そう。お前さんと接触した人間はね、一週間以内に死んじまうのさ。それは安らかな死に顔らしいよ。その代わりなのか知らないけど、お前さんの方は死ぬことはないらしい。

先生が言っとったわ。点滴を刺してもすぐに再生しちまうから針が抜けるんだと。」

「何それ? 何の冗談……。」

痛みが更に強くなる。しかし依然として誰も来ない。もう我慢できなくらいに痛いのに。

「防護服してても死んじまうから、もう誰も来なくなっちまったよ。まあ、諦めることさね。お前さんは一生ここから出られやしないんだから……。」

投稿者名:関苫屋厭離 (Twitter小説家になろう

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