実話 怖イ話 短編

バイトの先輩と心霊スポットに行ったときの話

4
(1)

私が大学生のときの話です。大学に入学して、そろそろ学校生活にも慣れてきた6月中旬、私は地元のあるラーメン屋さんで人生初のアルバイトを始めることになりました。
初日は既存スタッフの2人に指導してもらいました。この2人の先輩は2つ年上の大学生でした。とても明るく優しい先輩たちだったので、私はすぐに店にも溶け込むことができました。アルバイト生活にも慣れていき、7月のある日、この2人の先輩たちとシフトがかぶっていました。休憩中に3人で賄いのラーメンをすすりながら、話題は心霊の話になりました。先輩たちは私を怖がらせようと、様々な心霊話をしてきますが、私はもともと怖い話が好きなので怖がることなく話を聞いていました。

すると、「行くとケガをする、最悪命を取られる」という噂のある心霊トンネルの話になりました。
1人の先輩は面白半分でその心霊スポットに行こうと言い出しましたが、私ともう1人の先輩は頑なに断っていました。ちょうど良いタイミングで私は店長に呼ばれたのでその場を離れました。戻ってくると、なぜかもう1人の先輩も心霊スポットに行くことになっていました。結局、私は2人の先輩たちの誘いを断ることができず、仕方なく一緒に心霊スポットに行くことになりました。

7月後半、大学も夏休みに入っていたので、ある木曜日の夜に心霊スポットに向かうことになりました。私たちは夜10時に最寄りの駅で待ち合わせ、バスで心霊スポットに向かいました。私は最初から乗り気ではなかったので、この時点で既に気分が悪くなっていました。バスに乗って、真ん中よりやや後ろの席まで行き、先輩2人は隣同士で、私は通路を挟んで1人で座りました。

最初はたわいもない話で盛り上がっていたのですが、バスが街灯のない道を進んでいき、私たち以外に誰も乗ってこないことを少し不気味に感じてきていました。私は到着するまで音楽を聴こうとイヤフォンを耳にはめて、しばらく目を閉じていました。

すると、突然、先輩たちが叫び声をあげたので目を開けてみると、2人は両手で顔を覆って体を縮めていたのです。何があったのか聞いてみても2人は何も言わず、ただ震えていました。この時点で私は2人が私を怖がらせようとしていると思い、2人をくすぐってみました。すると、先輩たちは真っ青になった顔をゆっくりとあげて、今すぐ帰らないといけないと言い始めたのです。私はまったく理解することができずにいましたが、とりあえず2人と一緒に次のバス停で下車することになりました。2人は何も言葉を発さないままタクシーを拾ってバイト先のラーメン屋に向かいました。

到着してスタッフルームに入ると、2人はしばらく黙っていましたが、やっと何が起きたのか話してくれました。
私が寝ている間、2人は世間話をしていたのですが、バス停でもないところで突然、ある老夫婦が乗車してきました。誰か乗車してきたと思い、通路側に座っていた先輩が顔をのぞかせて前方を見てみると、その老夫婦の足元が透けていることに気が付きました。さらに、この老夫婦は前方の席から1席1席じっくりと見ながら後ろに歩いてきていたのです。この時点で2人はまずいと思い、何も言わずに下を向いて寝ているふりをしたといいます。

1人の先輩が、「絶対に目を合わせちゃだめだ。目を合わせたら終わりだ、絶対に目を開けるな。」と言い、この老夫婦が通りすぎるのを待っていました。2人はしばらくその状態で待機し、バスも走り始めていたので通路側に座っていた先輩がゆっくりと顔をあげて目を開けてみると、目の前にかがんで先輩の顔を覗き込んでいる老婆がいたのです。もちろん、完全に目も合ってしまっています。

ここで2人は叫び声をあげて、私が目を覚ましたのですが、その時点でその老夫婦の姿も消えていたと言います。
私は正直それでも半信半疑でいましたが、とりあえずその夜は家に帰ることにしました。それからしばらく先輩たちとシフトがかぶることがなく、連絡もとっていませんでした。
すると、8月のある日の夜、バイト先の店長から電話がかかってきました。
【OOがバイクの事故で亡くなったみたいだ。通夜は今日の夜6時らしいぞ。これるか?】
私は言葉を失いました。
あのとき、老婆と目が合った先輩は1人でした。あの老婆に連れてかれてしまったのでしょうか。

投稿者:謎の人

星をクリックして評価してね

平均 4 / 5. 評価数 1

理由をお知らせください

-実話, 怖イ話, 短編

© 2021 #謎メッセ