謎の話

病院を這って歩く者

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これは私が看護師として働いていて、深夜勤をした日の出来事です。
 午前0時、私は準夜勤の同僚からの引き継ぎが終わり、最初の見回りをしていました。
その日は空室のはずの病室の前を通ると、ひとつのベッドランプが点いています。
まだ準夜勤の同僚がいたので、最後の見回り時にベッドランプを点けたのか聞きましたが、誰もその部屋には入っておらず、ランプも点いていなかったそうです。
このような事は時々起こるので、私は特に気にもとめず、勤務を続けていました。

午前3時、見回りの時間です。
個室に入院中のAさんの所へ行くと、Aさんがベッド上で座って起きていました。
どうしたのか声をかけると「眠れなくて。そしたら、婆さんみたいな人がそこに居たから、俺も座ってたんだ。」とベッド横にある椅子を指差します。
そして「でも少し前に出て行ったよ。あの人、足が悪いんだな。かわいそうに。這って行ったよ。」と。
私はAさんが夢でも見たのだろうと気にしないように気持ちを切り替え、見回りを続けました。
次の4人部屋に入ると、なにか他の病室より寒い感じがしました。
病室内を見回すと、Bさんがブツブツと何か話しています。
どうしたのか聞くと、「眠れないから婆さんと喋っていたんだ。婆さんも俺と一緒で足が悪いんだな。這ってここに来たぞ。」と。
私は背筋が凍りました。
私が病室に入った時、Bさんは誰かと話していた…。ということは…⁈

私は恐る恐るBさんに聞きました。「そのお婆さんはどこに行ったんですか?」
Bさんは「婆さんか?ほら、そこの下にいるだろ。」と、斜め向かいのベッド下を指差します。
私はベッド下を見ましたが、暗くて何も見えません。
Bさん以外の誰かに見られている気配は確かに感じましたが、私は怖くてそれ以上近づくことは出来ませんでした。

結局、そのお婆さんが誰で何をしていたのかはわかりません。
病棟はコの字型の造りになっており、コの字のちょうど真ん中に縦に1本廊下が通っています。
Aさんの病室とBさんの病室は、その縦の廊下を挟んで向かい合う位置にありました。

後日、思い出したことですが、霊感があるという患者さんは、その廊下を見て「ここは霊の通り道になっている」と言っていました。
お婆さんは、その通り道を歩いて(這って)いた途中に、眠れなかったAさんとBさんのところへ寄り道をしたのでしょうか。
そして、誰もいない部屋の電気がなぜ点いていたのかは、今もわからないままです。

投稿者:K

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