不思議な話 実話 短編

神鳴り

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私の夫が体験した不思議な出来事です。

その日は、午前中から降り始めた雨が、夫が仕事から家に帰る途中も続いておりました。
高校を卒業してから勤めている夫の職場は、家から車で20分ほどのところにあります。地元ということもあって行き慣れた帰宅路でしたが、ワイパーで払っても追いつかないほどの、窓を覆い隠さんばかりの雨と、街灯もない田んぼ道ということもあって、夫は道に迷ってしまいました。

途中、雷まで鳴りだし、夫はどこか落ち着ける場所がないかと辺りを見渡したところ、偶然にも田んぼ道を抜けた先の雑木林に、建物のようなものが見えました。

(誰かいるかもしれない)

雑木林の手前の道路端に車を止め、誰かがいる可能性に賭けて、夫は傘を差して、林の中に入りました。

雷もホラー映画も苦手な夫には、土砂降りの暗い夜の雑木林は大層怖かったと聞いています。

傘に当たる雨音、夫がぬかるんだ地面を踏みしめる音、そして何度も鳴り響く雷ばかりが聞こえて、他の生き物の鳴き声も何も聞こえません。まるで世界にたった一人になってしまったような孤独感と恐怖を抱きながら、夫は整備のされていない狭い道を歩きました。

昔は人が通っていたのだろうと思えるくらいの道幅はあるのですが、長年手入れがされていなかったせいで、伸びっぱなしになっている雑草が夫のただでさえ重たい足を邪魔したといいます。

その場所に辿り着く頃には夫は疲れ果てておりました。

木々の合間から見え隠れしていたのは、神社でした。

夫は神社だと思ったそうですが、聞いた話では鳥居もないようですし、祠だったのでしょうか。

もちろん人の気配は全くありません。

深夜遅く雨の中の、長年人の手の入っていない、寂れた神社は大変雰囲気があります。

怖がりの夫は先ほどまでの疲労感も忘れ、逃げるようにその場を後にしました。
何度も雷が鳴る中を夫は何とか家に帰宅することができました。

 後日談になります。
夫は同じ地域にいくつかの工場を抱えている会社で働いていて、シフト交代制で、週に日勤と夜勤が入れ替わります。
夫がいる時だけ、雷が頻繁に鳴ると職場で噂になりました。実際に三度ほど夫の働いている時間帯に、夫が勤めている工場だけに雷が落ちてしまった事故もありました。

その時、夫は上司から怒鳴られていたそうです。
雷が落ちて機械が止まり、別の騒ぎになったので、上司の気が逸れてラッキーだと思ったそうなのですが、そのような偶然が起こるとは何とも不思議なことです。

投稿者:匿名

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