実話 怖イ話 短編

黒いフードをかぶった人

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幼い頃から、変な影がうつった写真が撮れたりお守りに持っていた数珠が切れたり、不思議な体験をすることが多かった私。母も親族が亡くなる夜にその人が夢枕に立つような家系だったので、血筋かもしれませんが、成人するとさすがに頻度も少なくなり忘れていきました。

ほとんど不思議な体験を思い出さなくなった頃、一人暮らしを始めました。
勤めていた会社もコンビニやスーパーも近い立地で、一人暮らしには持て余すほど広いお部屋にも関わらず相場より少し安くて、正直「ラッキーだな」くらいの気持ちで入居しました。

暮らし始めてから少しして、ラップ音が聞こえるようになり、寝ている時に耳元でピアノの音が1つずつ「ポロン、、、ポロン、」と聞こえてくる事もありましたが、昔の経験から、なるべく知らないふりしながら過ごし、入居から半年ほど過ぎた頃。


その日は台風が近づいていて、仕事が終わる時間帯が台風の最接近だと聞いたので、戸締りをいつもよりしっかり確認して仕事に出ました。退社する頃にはやっぱり大雨で風も強く、「今日はお風呂沸かしてあったまって寝よう」そんなことを考えながら家の鍵を開けると、部屋で一番大きい窓のカーテンが風になびいて揺れているのが見えました。

あの窓だけ戸締りし忘れたのかな?と少し嫌な予感がしつつも、雨も入り込んで床がびしょびしょだったので急いで窓を閉めようと近づいた時。

外でこちらを向いて立っている人影が見えました。

全身黒い服を着てフードを深くかぶっていて、口元が少し見えるような、性別も分からない感じでした。

まるで、帰る時間を知っていたかのようにそこにいるのです。

時計は22時、ましてやこんなすごい雨風の中わざわざ出歩く人なんていないような時に、微動だにせずじっとこちらを見てるその人を見て、全身に悪寒が走りました。呆然としてしまい、数秒間見つめていたと思います。

ふとその人の顔が少しだけ動き、見えているのは口元だけのはずなのに「ヤバイ、目が合った」と直感でそう思いました。

するとゆっくりと口元が笑ったんです。

それを見てハッと我に返り、急いで窓の鍵を閉めました。

恐る恐るもう一度その場所を見ると、もうそこには誰もいませんでした。

その日はとても一人で部屋にいる気分になれず、友人の家に泊まらせてもらいました。

この日以降、ラップ音などは聞こえなくなりました。

あれは一体誰だったのか、そもそも人間だったのか分からないままですが、あの笑った口元だけは今でも鮮明に覚えています。

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