中編 怖イ話

息子思いの父より

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私には一人息子がいます。母親がいない家庭だったので、母親代わりにと思って厳しく育ててきました。
最近の困りごとは、息子がマインクラフトにハマりすぎていることです。しかも、オンラインで友達ができたと喜んでいました。

私はネット上で友達をつくるのは良くないと思っています。相手が変な人だったらどうするんですか。
なので先日、ゲームや友達について息子と話し合いをしました。

「インターネットで友達をつくるのは危険だ。」と、私はゲームをしている息子のとなりに座りました。息子はマインクラフトで遊んでいて、ジャマくさそうに私を見ました。

『お父さん、また怖い話してビビらせようとしてるんでしょ。』

「え?」

私はごまかすように笑いました。
息子には小さい頃からずっと、「夜に外に出たら幽霊に追いかけられるぞ。」「川に近づくと足をひっぱられるんだよ。」など、わざと怖い話をしてルールを守らせていました。一番効果的だったので。

『僕が6歳の時までは信じてたよ。けど、もう怖くないし、バカみたいな話って思ってるから。』

「ええ、聞いてよ。インターネットの話は本当に怖いよ? ノンフィクションだし。」

息子は大きなため息をはいたあと、マインクラフトをやめて、私のバカげた話を聞いてくれました。本当に良い息子です。

むかし、Cという少年がいました。少年Cはオンラインゲームに夢中になり、いろんなコミュニティに参加しました。ゲーム内でたくさんの人と話すなかで、CはH23というアカウント名の、10歳の男の子と出会いました。
2人は同じゲームが好きで趣味が合い、すぐに仲良くなり、いろんなオンラインゲームを2人でプレイしました。

それから数か月後、CはH23の誕生日が近いことを知り、H23がゲームでずっとほしがっていたレアアイテムをプレゼントしました。

H23は「すごく感激したよ!Cの誕生日にお礼がしたい!すごくカッコいいものを贈るよ!」と、Cに住所を聞きました。
CはH23のことを信頼していたから、住所を教えても大丈夫だろうと考えて、
「ほかの人には言わないでね。」と、住所を教えました。

少年Cはダメだということはわかっていました。勝手に住所を教えるなんて、絶対に親に怒られると思っていたし、罪悪感や不安がありました。

もし、H23 が変な人だったらどうしよう…、お父さんたちに迷惑がかかるかも…と、ずっと考えてしまいます。

そして翌日の夜、ベッドの中にいましたが不安で眠れず、Cは覚悟して、両親に打ち明けることを決めました。

ちょうど起き上がった時、廊下から激しい音が聞こえました。少年Cには赤ちゃんの弟がいて、泣いている声が廊下に響いていました。

いろいろな音がするなかで、Cは足音が近づいてくるのがわかりました。

父親だと思ったので「ねえ、お父さん?」Cは緊張しながら、声をかけました。

「お父さんに言わなきゃいけないことがあるんだ。」

ドアが開けられて、扉のフチから、父親の顔だけがおかしな角度でひょっこりとあらわれました。廊下は暗く、父親の顔はハッキリと見えませんでしたが、目は別の方向を見ているようでした。

「どうした、C」と父親は返事しましたが、声が違うように感じたし、口も動いていないように見えました。

「大丈夫?お父さん?」とCが聞くと、父親は「うんうん!」と返事をしました。Cはなんだか気味が悪くなって、布団を引き上げます。

「えっと…あの、ママはどこにいるの?」

『ここにいるよ!』明らかにちがう声で、父親の顔のすぐ下から、またおかしな角度でひょっこりあらわれました。
さらに母親は話します。

『H23 に私たちの住所を教えたんでしょ!あーあ、本当に、教えるべきじゃなかった! あれほど知らない人に個人情報を教えちゃダメだって言ったのに!」

『H23 は本当は子どもじゃなかったの。』

『知ってる? H23はさっき、この家に来て侵入して、私たち2人をヤッチャッタのよ!』

そして濡れた服を着ている太った男がドアからあらわれました。2つの頭をもって。
男は2つの頭を床に落としたあと、ナイフをもってCに近づく。
Cは大きな悲鳴をあげました。

数時間後、Cは叫ぶ力もなく、倒れました。静まり返った部屋のなかに、赤ちゃんの泣き声が聞こえてきます。
男は別の部屋に赤ちゃんがいることに気づき、喜んでCからナイフを抜き取りました。男は今まで赤ちゃんには手を出したことがなく、ナイフで刺したら…という想像をしてワクワクしました。

H23 は急いで別室へ行き、赤ちゃんを見つけました。別室は薄暗く、間接照明だけでした。

赤ちゃんの最期の様子をじっくり見たいと思い、赤ちゃんを抱きあげ、別の部屋に行こうとしたときでした。
赤ちゃんは抱きあげられると、H23に向けて、にっこりとほほえみました。

H23は不思議なことに、血まみれの手を毛布でふき、赤ちゃんの頬を愛おしそうになでていました。
人をころしてしまいたい気持ちが消えて、心が柔らかいものに包まれたように温かく感じます。

男は部屋から出て、赤ちゃんを家に連れていき、自分の息子として育てることを決めました。赤ちゃんには、ウィリアムという素敵な名前を付けました。

話し終えると、息子は目に見えるぐらい震えていました。
うまく息が吸えないみたいで、苦しそうに言いました。

『僕の名前…ウィリアム、なんだけど…』

「もちろん、そうだね。」私はウィリアムに笑いかけて、頭をなでました。

ウィリアムはバッと立ち上がって、階段を駆け上がっていきました。2階から扉が閉まるような音がしたので、きっと泣きながら寝室に入ったのでしょう。
ちょっと怖がらせすぎたかもしれません。
まあ、そういうことも知ったほうがいいですよね。
ネットが危険なのは事実ですから。

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