不思議な話 実話 短編

夢の中にあらわれた神社

3.5
(2)

その日の夢はやけに鮮明で目覚めた後も現実と錯覚するほどでした。

夢の中、季節は春みたいでした。夕焼けに染まる空の下、私はひとりで神社の境内にいました。とある神社、といっても私は全く知らない場所で、一通り参拝をしたあと、あたりを散策すると、本殿の裏に三本に枝分かれした小さな道が伸びていることに気づきました。

中央の道だけ鳥居が連なっており、身の丈より少し大きい程度の小さな鳥居です。その赤を燻ませる程の苔が張り付いていることから、あまり整備は行き届いていない様子でした。私は三本の道のうち鳥居のある中央の道を進むことにしました。

山を開いた高台に位置していたこともあり、鳥居の道は下り坂で途中までは階段がありました。階段がなくなってからは草が生い茂り、それを掻き分けるように進んでいった映像が特に印象的でした。そしてそこで夢は途絶え、そのまま目が覚めました。

起きた後もその夢は何故か心に残り続け、時折、あの夢の続きが見れないだろうかと思う日もありました。

それから数年後、私は衝撃の体験をしました。当時、大学卒業を控えていた私は、友人と九州一周の車旅行をすることになっていました。行きたい目的地や観光地を書き出して計画を立て、順調に計画通り、旅は進んでいきました。旅行も終盤に差しかかった頃、その日はかなりの距離を運転していました。

時刻は夕暮れ、どこかで休憩していかないかという話になりました。休憩は大抵、次に看板が見えたコンビニかファミレスということになっていましたが、その時車を走らせていた地域は、あまりそういう建物がなく途方に暮れていました。

痺れを切らした私はスマホで周りを検索し、ある滝を見つけました。基本的に計画予定にない場所には立ち寄らないとしていましたが、何故かその時はその滝に妙に惹かれて、みんなを説得して行こうと提案しました。

付近まで車を走らせると寂れた立て看板を見つけました。実際には滝の名前ではなく、神社の名前が記載されていました。しかし他には案内もなく山の方向に続いていたので、おそらくそこに滝もあるのだろうと看板に従って、進みました。

次第に細くなっていく道路の先に、参道の階段が見えました。そこで私たちは車を止め、参拝することにしました。階段を登っている時からどこか胸騒ぎというか既視感みたいな感覚があり、本殿のある表の境内に足を踏み入れた時、鳥肌が立ちました。

私は何かに動かされたかのように、本殿の裏へ走ると、老朽化した草木が鬱蒼としており、閉ざされているものの奥に、確かに、夢で見たあの鳥居の道がありました。その時は恐怖感はなく正夢を体験したことに少し感動していました。

が、後に恐ろしい事実を知ります。

私は旅行は無事に終わってからというもの、あの神社の事が頭から離れなくなりました。私自身行った記憶はもちろんありませんし、家族に聞いたところ物心つく前にも立ち寄った事実はないそうでした。

ふとネットであの神社について調べると、神社の近くにあった滝は、行方不明者や自殺者が過去にあった場所という事実を知りました。もしかして…と私は思いました。あの夢は、死者の最後の映像だったのではないかと。

今思うと、鳥居が老朽化しているのは夢が過去の出来事だという根拠で、道が閉ざされていたのも自殺者が出たことから封鎖されてしまい、草木が茂ったのだろうと予想できました。

なぜ私はあの夢を見たのか。それとも私がその人の生まれ変わりなのか。全く知らない土地の山奥の神社に惹かれて足を運んだ私は、誰かに導かれていたのでしょうか。偶然とは到底思えず、今も考えると寒気がします。

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